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蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参
「殿、お願いがございます」
 上眼遣いに見上げて言うと、信頼は小首を傾げた。
「何じゃ、何なりと申してみるが良い」
「桜が見とうございます」
「―桜とな」
 訝しげな表情(かお)の信頼に頷いて見せた。
「高嶺桜を見たいのです」
 短い静寂があった。信頼の視線と長儀子の視線が宙で絡み合う。信頼が頷いた。
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