この作品は18歳未満閲覧禁止です
蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参
そんな何げない仕草さえ、信頼が我が身の意思を大切にしてくれているように思えて、長儀子は嬉しい。もしかしたら、自分たちは最後の最後になって、漸く少しは夫婦(めおと)らしくなれたのではないかと思った。
長儀子の気持ちを問うような信頼に、長儀子は微笑んだ。
「まだ日暮れまでには間がございます。琴路、心配は要らぬ。殿が付いていて下さるのじゃ」
台詞のしまいの方は案じ顔の琴路に安心させるように言った。