この作品は18歳未満閲覧禁止です
蜜愛~男になった女~
第9章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 参
夕陽に染まった満開の桜が黄金色に輝いている。
「お千世の方様は本当にお可哀想だったのでしょうか」
長儀子は信頼を見上げた。
「女は好きなお方のことを想うだけで、幸せな気持ちになるものにございます。恋をして、人は苦しみや痛みも知るけれど、本当にその方を好いておれば、苦しみよりは歓びの方が多いはず、恐らくお千世様は私たちが思うよりは幸せな気持ちでこの桜を眺めておられたに相違ござりませぬ」