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第9章 番外編【櫻の系譜・壱～雪時雨（ゆきしぐれ）～】　参

　〝最後に〟、今回もその言葉は辛うじて呑み込んだ。だが、信頼は長儀子の言葉から何かを嗅ぎ取ったようだった。
「何を不吉なことを申すのだ。そんな言い様では、まるでこの桜を見るのが最後のようではないか。桜は今年限りではない。来年も咲き、また、その次の年も春がめぐり来る度に咲く。今年中には子も生まれよう。来年は親子三人で、あの桜を見るのだ」