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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世

耳許で男の声が聞こえて、お千世は更に恐怖心を募らせた。驚愕に固まったまま恐る恐る見上げると、相手の呼吸(いき)遣いすら届きそうなほど近くに、若い男の顔が迫っていた。年の頃は許婚者の雄次郎と変わらないくらい。上背があり、整った面立ちであった。これほどの男前ならば、奧向きの女たちが放ってはおかぬであろう。
本来、奧向きは藩主以外は一切男子禁制のはずだが、例外として出入りを許されている重臣や近習がわずかにいる。この若い武士もその一人ではないかと察せられた。
本来、奧向きは藩主以外は一切男子禁制のはずだが、例外として出入りを許されている重臣や近習がわずかにいる。この若い武士もその一人ではないかと察せられた。

