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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世
「そのように眼を開けて、じっと見つめるものではない」
男はかすかに笑いを含んだ声音で囁くと、お千世の見開いたままの双眸をそっと押さえ閉じさせた。
次の瞬間、再び唇を重ねられ、お千世は身じろいだ。が、男の腕が逃れようとするお千世をしっかりと捉え、離さなかった。今度の口づけは深く長かった。先刻の軽いものではなく、口中に男の熱い舌を感じるほどの烈しく、狂おしさすら秘めているものであった。