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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世

その二日後の夜。
お千世は更科に呼ばれ、藩主信純のお千世を閨に召したいという意向を伝えられた。命ぜられるがままに、湯浴を済ませ、腰元たちによって身支度を整えられたお千世は更科の持つ雪洞の灯りに足許を照らされて、磨き抜かれて黒光りのする長い廊下を辿った。
深い水底を思わせる閨の中は静寂に満たされている。ほどなく襖が音もなく静かに開き、人が入ってくる気配があった。その人物こそ藩主信純に違いなかった。両手をつかえていたお千世はわずかに面を上げた。だが、その人の顔は依然として判らない。
お千世は更科に呼ばれ、藩主信純のお千世を閨に召したいという意向を伝えられた。命ぜられるがままに、湯浴を済ませ、腰元たちによって身支度を整えられたお千世は更科の持つ雪洞の灯りに足許を照らされて、磨き抜かれて黒光りのする長い廊下を辿った。
深い水底を思わせる閨の中は静寂に満たされている。ほどなく襖が音もなく静かに開き、人が入ってくる気配があった。その人物こそ藩主信純に違いなかった。両手をつかえていたお千世はわずかに面を上げた。だが、その人の顔は依然として判らない。

