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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
そのお千世に殿様のお手が付いたこと自体、信じられぬ話なのだ。もっとも、
―殿はあまりにお美しき花ばかりに囲まれておいでゆえ、少し様変わりのした女子を求められたのやもしれぬ。
と、奧向きの女たちは嫉妬混じりにそんな陰口を囁いた。藩主の側室はいずれも眉目良き美女、しかも才媛が多い。信純は派手やかな美貌の、打てば響くような才気煥発な娘を好み、お千世はそんなこれまでの「基準」からすれば大いに外れていたのである。
―殿はあまりにお美しき花ばかりに囲まれておいでゆえ、少し様変わりのした女子を求められたのやもしれぬ。
と、奧向きの女たちは嫉妬混じりにそんな陰口を囁いた。藩主の側室はいずれも眉目良き美女、しかも才媛が多い。信純は派手やかな美貌の、打てば響くような才気煥発な娘を好み、お千世はそんなこれまでの「基準」からすれば大いに外れていたのである。