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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵    
 我がままな駄々っ子のようなその姿は、かえって哀れをそそられる。加恵は、既にお千世が内側から狂い始めていることに気付いていた。
「ねえ、加恵殿、殿はきっと今日中には私の許へおいでになるに違いないわ」
 歌うようなその口調には、紛うことなく狂気が宿っている。加恵は、はにかんだような笑顔がすがすがしかった、昔のお千世を思い出していた。
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