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蜜愛~男になった女~
第11章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 弐―加恵
その時、ひときわ強い風が吹き込んできた。その拍子に白い花片が風と共に部屋にも舞い込み、お千世の髪や身体を濡らした。水気を含み湿った花びらがお千世の美しく結い上げた黒髪に貼りついている。
加恵は思わず衝動的にお千世を抱きしめた。
「お方様、お身体がこんなに冷たくなられて。もう中に入りましょう」
お千世の抱きしめれば壊れそうなか細い身体を抱きかかえるようにし、部屋に連れ入り、障子を閉めた。