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第12章 番外編【櫻の系譜・参～花水木（はなみずき）～】　　

「聡一郎、相撲を取りたい。相手を致せ」
　突如として言い出した主に、聡一郎は眼を見開いた。信頼の気紛れは今に始まったことではない。遠乗りに出るときも何をするにも、たいていはこのように突如として言い出すに決まっている。そして、一度言い出すと、絶対に後へは引かない。聡一郎はそんな信頼の後にいつも黙って付き従う。
　聡一郎は頷くと、立ち上がった。