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蜜愛~男になった女~
第12章 番外編【櫻の系譜・参~花水木(はなみずき)~】
信頼の視線の先を辿ると、池の対岸に小さく薄紅色の花をつけた樹が見えた。花水木である。
聡一郎は嬉しげに頷いた。
「は、さようにござります」
やはり、信頼は暗君ではない。普段は我が儘ばかり言うが、こうして傍にいる者の言葉はちゃんと信頼に届いている。聡一郎は弾んだ心のままに言った。
「殿、来春はいよいよご婚礼にござりまするな。京の都から参られるやんごとなき姫君とは、一体どのようなお方にござりましょう」