この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜜愛~男になった女~
第12章 番外編【櫻の系譜・参~花水木(はなみずき)~】
幼いときから、我が儘で一度欲した物は手に入れないと気が済まず、粗暴なふるまいも多い信頼だった。生まれてほどなく母を喪い、五歳でまた父をも喪った環境では、孤独になるのも無理からぬことかもしれない。いくら聡一郎や父盛綱が心を込めて仕えたとしても、所詮主従の域を出ることはない間柄なのだ。
信頼が時として荒れるのは、彼の心の奥の淋しさのなせる業だと聡一郎は考えていた。だが、神ならぬ身の聡一郎は、まさかその要因が自分にあるとは想像もしていない。
信頼が時として荒れるのは、彼の心の奥の淋しさのなせる業だと聡一郎は考えていた。だが、神ならぬ身の聡一郎は、まさかその要因が自分にあるとは想像もしていない。