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そんな男性方
第20章 お前がいる
「はーあ。これで最後だ」
「結局救援は来なかったな」
「……落盤なんて」
「あと、一メートル先にいるかもしれない」
「きっと……」
「こんな真っ暗で、息苦しくて汚いとこで死にたくねえなあ」
「ああ、俺もだ」
「トンネル設計者とかファックだな」
「くそが」
「くく……ああ、眠い」
「タバコ吸いてえ」
「その辺探れば落ちてんじゃない?」
「潰れた車の中かも」
「諦めろ諦めろ」
「はあ……どうせ動けない」
「……動けないな」
「寝て起きたら、明るくなってりゃ良い」
「どのみちだろ」
「あーあ。なあんで神様」
「もう四日も考えたがわかんねえな」
「トンネル前後二百メートルだから」
「……暗くて汚いけど、お前がいる」
「は?」
「お前がいてよかった」
「……はは、ばぁーか」
「一人じゃ昨日死んでた」
「……そうだなあ」
「火、点けろ」
「オイルあとちょっと」
「いいから、お前の顔見たい」
「ん」
「……きったねえ」
「おいおい。お前もひでーかんな」
「早くひげ剃らせてくれ」
「それだけでいい」
「……ああ」
「まったく……」