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第4章 痴人の罠
怒り、抗っているはずが、動かない身体にひたすら愛撫を受ける様を俺はどこか観客のような無関心さで眺めていた。
男同士であることや父の仇であること、それに伴う感情は快感を高めるためのニュアンスに過ぎず、俺はうっとりと観客席で次の展開を見守っていた。

手を舐め尽くした男は、乾いた舌を濡らすように俺の口へ舌を差し込む。舌の脇を味わうように撫でると、湧くように口から新たに唾液が溢れてきた。
男は俺の舌を吸いとり、自分の口で一度ためてから俺の口に戻す。俺は水の流れるに逆らえず、喉元に来たそれをゆっくりと飲み下した。

それから御木本は俺を無理やり起こし、自分の体に寄りかからせながら器用にTシャツを脱がし始めた。

「…若い肌だな。臭いも、獣めいた青さで…。」

男はしばらく、俺を後ろから抱き締めながら首筋に顔を埋めていた。泣いているような、笑っているような鼻息が遠くに聞こえる。
手を握られ、その手が体の下の方へ降りていく。
短パンと下着の下、パンパンに張りつめた自分の性器を一緒に触る。
思い通りに出来ないもどかしさが
触れながら御木本は首筋に舌を這わせ、もう片方の手で乳首をいじり始めた。
いつも以上に感じやすく、ドンドン先走りの汁が垂れ流されるのがわかる。

どれだけ感じても俺の体には微かな痙攣が起こるばかりで、食い縛り歯止めをかけることは出来ない。
汗と唾液が溢れ、鼓動が早くなる。
堪えられない快感は時に恐怖だ。

だめ、だめだ、やめてくれ。
気持ちいい、のが こわい

じわりと滲んだ涙を御木本が舐めとり、そのまま首に顔を埋めて強く痕をつけた。

例えば行き先を誘導された鬼ごっこのように、じわじわと相手の思うところへ俺は堕ちていく。愛しげに髪を撫でる男の、この掌の優しさは、一体なんなんだ。

俺を再びベッドに寝かせると御木本は体のあちこちを撫でながらキスをし、俺の股間に顔を埋めるとモノを丁寧に一舐めした。

「──」

腰が浮く。身体が初めて大きく反応し、吐息がこぼれた。
舌先があちこちにねっとりと走る度に俺は、不様に腰を浮かせながら喘ぎ声を漏らす。

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