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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第4章 心のゆくえ
たっぷりとした髪は一つに編んで横に垂らしている。うっすらと化粧を施された後、差し出された手鏡を覗き込んだ時、鏡の中には見たこともない可憐な美しい娘が映っていた。
これが自分だとは明香でさえ信じられなかった。寝所までは柳尚宮が付き添う。
先導の女官が雪洞で脚許を照らし、明香は磨き込まれた廊下を数人の女官たちと共にゆっくりと辿った。灯りもない廊下は薄暗く、廊下に忍び込んだ闇の色に心まで染まってしまいそうだ。