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第1章 人知れず咲く花

　張尚宮は王が生まれる前から尚宮の座にあった。元々は、大王(テーワン)大妃(テービマーマ)（三代前の王の継妃）の尚宮であった彼女は、現王李(イ)貞真の生誕と同時に世子(セジヤ)（王太子）付きになり、更に貞真が十一歳で即位して王となるに及んで国王付きの尚宮となった。まさに王に仕えること十五年の長きに渡った。王が生まれたその瞬間から、片時も側を離れなかった張尚宮を母のように慕っていたのも、ごく自然のなりゆきだろう。