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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第1章 人知れず咲く花
「彼(か)の者ほど、他人を思いやる心を持った者を私は知らぬ。明香、人を動かすのは結局のところ、権力でも財力でもない。人を動かし得るのは、優しさ―真心に他ならぬ。そして、張尚宮もそなたも、その類稀なる財産を生まれながらにして持っておる。張尚宮は何も殿下にお追従を述べたりはしなかった。諫めるべきところは、はっきりとお諫めした。それでも殿下があの者を片時も側から離さぬほどご信頼なさったのは、あの者が心底から殿下をお思い申し上げていたゆえだ。張尚宮の真心が殿下のお心を掴み、動かしたのだ」