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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第2章 禁断の恋
「好き―?」
王が興味を引かれたらしい様子で、身を乗り出す。
「はい、伯父夫婦の長男、つまり私には従兄に当たる男(ひと)は、大変思慮深い人でした。早くに両親を亡くした私は六歳のときに伯父に引き取られたのですが、はっきり言って厄介者でしかありませんでした。その中で、年嵩の従兄だけが私に優しくしてくれたのです。多分、私が従兄に抱いていた気持ちは、殿下の仰(おつしや)るものに近かったのではないかと存じます」