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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第2章 禁断の恋

明香は淡く微笑した。
「殿下、私の想い出は、恋と呼ぶにはあまりに幼い、淡いものにございました。今だって、殿下のお訊ねがあって初めて、ああ、あんなこともあったのかと思い出したほどにございます。それに、宮廷に上がるのに、私の意思など全く関係ありませんでした。私が望むと望むまいと、伯父たちは私を追い出すつもりだったのです。祖父が亡くなった以上、伯父夫婦に私をそれ以上、家に置いておく気はなかったのでしょう」
それは、宮廷入りが体の良い厄介払いだったのだと暗に物語っている言葉だった。
「殿下、私の想い出は、恋と呼ぶにはあまりに幼い、淡いものにございました。今だって、殿下のお訊ねがあって初めて、ああ、あんなこともあったのかと思い出したほどにございます。それに、宮廷に上がるのに、私の意思など全く関係ありませんでした。私が望むと望むまいと、伯父たちは私を追い出すつもりだったのです。祖父が亡くなった以上、伯父夫婦に私をそれ以上、家に置いておく気はなかったのでしょう」
それは、宮廷入りが体の良い厄介払いだったのだと暗に物語っている言葉だった。

