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濡華 ~妹、涼華の過去~
第4章 別離
「なんで今さら戻らなくちゃいけないの…そっちもようやく落ち着いてきたんでしょ……」
「ちょっと待って、今お父さんに代わるから…」
「涼華…私だ…」
【他に誰がいるのよ…】
「いったいなんなの……」
「花怜が結婚するんだよ…」
【…お姉ちゃんが結婚……】
「へぇ、良かったじゃん…おめでとうって言っておいてよ…お姉ちゃんだって私なんかいない方がいいんじゃないの……」
「そんなこと言うもんじゃない…それにやっぱり姉の結婚式に実の妹が来ないっていうのもな…」
【なんだ…やっぱり世間体か……】
親に借りを返せるいい機会かもしれないと思った。
あの姉の結婚など心底どうでもいいことだった。
「お父さんにはいろいろ迷惑かけてるからね…いいよ…わかった…。後で日時や場所はLINEしておいてよ…ちゃんと行くから…」
「迷惑ってお前…あぁ、わかった…。久しぶりに顔を会わせるんだ、ちゃんと祝ってやってくれ…」
【お父さん…ごめん…それは無理だし、お姉ちゃんだって望んでないよ……】
姉は大学を卒業後、地元を離れ大手の企業に就職していた。
そこで先輩の男性と出会い二年越しのお付き合いの末の結婚らしい。
とても有能で将来も有望株なのだと聞いてもいないのに母親が教えてくれた。
結婚式と披露宴は二人の職場のあるところで行われるらしい。
夫になる水河家のご両親ともそこで顔合わせを執り行うとのことだった。
それにも参加しなければならいとはと肩を落とした。
結婚式前日の夜、式も行われるホテルのレストランの個室で親族顔合わせのディナーが催された。
「涼華…久しぶりだね…元気だった……」
姉の隣には優しそうな男性が寄り添っている。
【そう言うしかないよね…お互いに……】
「お姉ちゃんこそ、おめでとう…。あ、妹の涼華です…姉のこと、よろしくお願いします……」
満面の作り笑顔で夫になる男性に頭を下げた。
両家族が向き合うように席についた。
あちらは両親だけ…どうやら一人っ子らしい。
自己紹介が終わると一応、義理の父親になる人の号令で乾杯をした。
義父は大工の棟梁をしてるらしい。
もうすぐ定年を迎えるとかどうとか…。
身長よりも大柄に見えた。
キャバクラの客なら是非ともアフターに誘って欲しいとか不謹慎にも考えていた。
義理の兄になる人よりも義父の方が気になっていた。
「ちょっと待って、今お父さんに代わるから…」
「涼華…私だ…」
【他に誰がいるのよ…】
「いったいなんなの……」
「花怜が結婚するんだよ…」
【…お姉ちゃんが結婚……】
「へぇ、良かったじゃん…おめでとうって言っておいてよ…お姉ちゃんだって私なんかいない方がいいんじゃないの……」
「そんなこと言うもんじゃない…それにやっぱり姉の結婚式に実の妹が来ないっていうのもな…」
【なんだ…やっぱり世間体か……】
親に借りを返せるいい機会かもしれないと思った。
あの姉の結婚など心底どうでもいいことだった。
「お父さんにはいろいろ迷惑かけてるからね…いいよ…わかった…。後で日時や場所はLINEしておいてよ…ちゃんと行くから…」
「迷惑ってお前…あぁ、わかった…。久しぶりに顔を会わせるんだ、ちゃんと祝ってやってくれ…」
【お父さん…ごめん…それは無理だし、お姉ちゃんだって望んでないよ……】
姉は大学を卒業後、地元を離れ大手の企業に就職していた。
そこで先輩の男性と出会い二年越しのお付き合いの末の結婚らしい。
とても有能で将来も有望株なのだと聞いてもいないのに母親が教えてくれた。
結婚式と披露宴は二人の職場のあるところで行われるらしい。
夫になる水河家のご両親ともそこで顔合わせを執り行うとのことだった。
それにも参加しなければならいとはと肩を落とした。
結婚式前日の夜、式も行われるホテルのレストランの個室で親族顔合わせのディナーが催された。
「涼華…久しぶりだね…元気だった……」
姉の隣には優しそうな男性が寄り添っている。
【そう言うしかないよね…お互いに……】
「お姉ちゃんこそ、おめでとう…。あ、妹の涼華です…姉のこと、よろしくお願いします……」
満面の作り笑顔で夫になる男性に頭を下げた。
両家族が向き合うように席についた。
あちらは両親だけ…どうやら一人っ子らしい。
自己紹介が終わると一応、義理の父親になる人の号令で乾杯をした。
義父は大工の棟梁をしてるらしい。
もうすぐ定年を迎えるとかどうとか…。
身長よりも大柄に見えた。
キャバクラの客なら是非ともアフターに誘って欲しいとか不謹慎にも考えていた。
義理の兄になる人よりも義父の方が気になっていた。