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濡華 ~妹、涼華の過去~
第4章 別離
2学期からの新しい高校にはすぐに馴染めた。
似た者同士の集まりなのだ、気が合う連中のグループにすぐに入り込めた。
先生達もどこか達観していて、ガミガミうるさくもない。
学校と寮の往復だけの日々もそれなりに楽しめた。

一応、部活もあったがどこにも所属しなかった。
寮は男子女子と違う建物だったが同じ敷地内、夜になればどちらかがどちらかに忍び込むのも容易い環境だった。
同世代の男子はやはり子供っぽく思えて仕方がない。
性欲を解消するのに利用はしたが、満たされなかった。
スマホでこっそり玩具を購入してしまった。
いつの間にか私は周りから褪めてる子のレッテルを貼られていた。

冬休みと夏休みには実家に戻るように勧められたが戻らなかった。
それでも時折、両親には電話で話をしていた。
姉の声はずっと聞いていない。
考えないようにすればするほど姉の言葉とあの蔑む視線が頭から離れなかった。

三年になると、特にしたいこともなかった私は進学を選んだ。
理由は単純、まだ働きたくなかったからだ。
とはいえ、私の頭で入れる学校なんて限られている。

翌年、地方の県立大学に進学した。
髪の色は明るめのブラウンにしていた。
大学は一人暮らしができた。
ここでも親の脛をかじったことには申し訳ないと思っていた。

仕送りは頑なに拒絶した。
あの高校ではバイトは禁止だったが、これからは生活費くらいは自分でなんとかしたかった。
少しでも親に負い目を作りたくはなかった。
最初は真面目に飲食店でバイトを始めたが続かなかった。
次に選んだのはギャバ嬢だった。
これは楽しかった。
接客はめんどくさかったが、アフターの客の相手が楽しかったのだ。
もちろん、気持ちいい思いをさせてくれる上にお小遣いもくれる。
趣味と実益を兼ねるとはまさにこの事だった。

それでも、本当の意味での満足感は高二の夏休み以来得られることはなかった。
上田と名乗った男に刻み込まれた快楽…私はそれを求めて男を漁っているのかもしれない。

私が三回生の頃、母親から戻ってきてくれるようにと連絡が入った。
私のいなくなったあちらは日常を取り戻しているらしい。
それでも帰るつもりはなかったが、電話を父親に代わられると頷くしかなかった。
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