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マスター・ナオキの怪店日記
第4章 三島さんの再会


「へえ、それって結構ロマンティックな話しだよねえ?死んだ奥さんと再会・・映画とかでよくあるじゃない?死んだはずの人が現れて再び一緒に暮らすとかさ」
 パソコンの画面の中の志穂が、柔らかそうな髪を指でかき分けながら尚樹にまっすぐな視線を向けた。
 久しぶりに顔を見て話をすると、なんだか照れ臭く感じる。目の前にいるのだが触れることはできず、何のごまかしもできない緊張感がかえって尚樹を饒舌にした。
 互いの体調を確認した後、三島さんの体験談を興奮した口調で話して聞かせた。
 だが志穂は意外と冷静で、その手のファンタジーものの小説や映画を引き合いに出した。
「確かに最近はそういう内容の映画とか小説とか多いけどさ。でももしも自分が体験出来たら相当興奮すると思うんだけどなぁ」
尚樹のトーンが少し下がる。
「そうね・・自分にとってものすごく大切な人に亡くなった後でも会えたとしたら・・うん、やっぱり相手によるわね」
 自分にとってのとても大切な人。
 すでに他界した両親との別れは、年相応の人生の幕引きだったと思っているので、あの世から会いに来てほしいとまでは思わない。
 三島さんのように、生涯を共に歩いてきたパートナーなら抱ける感情なのではないかと、見るともなしに志穂の口元を見つめた。
「年末にむけて忙しくなるけど、時間をみつけてお店に行くわ」
「ああ、待ってるよ。ついでに部屋も掃除しておくからさ」
 さりげなく誘ったつもりだが、意味を察した志穂がニヤリといやらしい微笑みを残してパソコンの画面から消えていった。なんだか残り香が漂ってきそうな笑みだった。



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