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マスター・ナオキの怪店日記
第14章 今宵もグラスを傾けて
今宵も客が早めに引けた。
たぶん、あのお客様がやってくる。こんな夜は、必ず・・
午後11時7分。ギイと音をたててドアが開いた。
「いらっしゃい。どうぞ、カウンターへ」
客は重みを感じさせないその体で、軽々とスツールに腰かける。
「フォアロゼをロックで。思い出の酒なんだ」
「かしこまりました。グラスを傾けながらたっぷりとおしゃべりと酒をお楽しみください」
マスター・ナオキは今夜も、誰も座っていないカウンター席に向かってにこやかに微笑みかけた。
end
2022・4・24 完結