この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
マスター・ナオキの怪店日記
第6章 路地裏で会った男、来店
「ごちそうさま。また来るよ」
 壁時計に見入ってしまっていた尚樹が慌てて男のほうを見る。しかしすでに男の姿はどこにもない。ドアが開く音も聞こえなかった。
「おい・・なんなんだよ、これ」
 どう考えても開いたとは思えない、音をたてなかったドアを見つめ、それから視線が自然とカウンターの上へと動いていく。ぽつんと置かれたグラス・・
「あっ!金もらってないじゃないか!」
 タダ飲みされた、と急に頭が正気に戻ったのだが、よくよく見るとグラスはまったくの未使用、つまり使われていないきれいな状態なのだ。
 たしかにウィスキーを注いだ。氷も水も入れた。男も残さず飲み干した。その姿を確かに見た。ここにある、白州の水割りを・・
「あ、あれっ?酒が・・」
 カウンターの内側に置いたまましておいた白州の瓶がない。確かにここに置いたままにしてあった。あとで棚に戻せばいい、もう一杯飲むかもしれないし、と。
 くるりと背後の酒瓶の並ぶ棚を振り返る。そこに瓶が・・置いてある。他の酒瓶たちと一緒に行儀よく整列している。
 何から何までが不思議で恐ろしくなって、さっさと店を閉めて帰ろうと、カウンターの角にわき腹をぶつけながら飛び出してドアに鍵をかけた。
 裏口から出ると、冷たい風が尚樹の頬を叩く。ダウンコートのフードをすっぽりとかぶり、逃げる様な足どりで家路に着いた。




/111ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ