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梨果の父サイドストーリー
第21章 愛娘の魔性
「あ、大西さん、お父さんまで。」

陳さんの中華料理店には制服姿の梨果と……作家の一条院氏がいた。

「り、梨果……」

「お、お父さん何しにきたの?」

「い、いや……」

「あれ?店長は?」

大西くんが店内と厨房に陳さんの姿がないことに気づいた。

「着替え行ったのでもうすぐ戻ってくるかと……」

一条院氏はそう言い頭を掻いていた。

「え?店長が着替えですか?」

「えーと、ズボンにホワイトソースをこぼしたとかで……」

「え?うち中華料理店ですけど……」

「あははーですよねー……」

明らかに彼の目が泳いでいる。

「僕ちょっと見てきます。」

大西くんは店の奥に様子を見にいった。梨果と一条院氏との3人になり気まずい雰囲気になる。

「ご無沙汰してます。む、娘がお世話になってます……」

愛する娘をかすめ取り娘の体を自由にできる唯一の男。口惜しいが私の自業自得によって世話になっているのは事実だ。

「あっ、いえ先生、とんでもない……では私は用事がありますのでこれで失礼します。」

「え?おじさん用事ってどこ行くの?」

「えっ、いや……し、仕事?」

「今日は仕事しないって言ってたじゃん。」

「い、いや…急に閃いた物語があってねー…あはは。」

「え?」

ごくたまに梨果は空気が読めない。妻に似たのか。

「まあまあ梨果、一条院さんが用事があるとおっしゃってるし……」

「で、では失礼します。」

一条院氏はテーブルに一万円札を置くと逃げるように店を出て行った。
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