この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛してるなんていらない
第9章 過去
一人で照れていると彼が前を見たまま言った。
「これからは当日にいわず、ちゃんと連絡するよ。」
「え?」
何を見ているのか目線をたどると、マンションの前に人が立っていた。
「....創..」
「今日店に来てた子だよね?..早く行ってあげて。」
「え、で、でも..」
もう少し一緒にいたい、とは言えなかった。
「ほら、きっと咲ちゃんを待ってるんだよ。」
「..」
私はお礼を言うと仕方なく車を下りた。
「またね。」
窓をあけてそれだけ言って、彼はすぐ車を出した。
「....」
車が後ろを通ると、創がじっと車内を見ていた。
車が見えなくなってから創の方へ歩いていく。
「創。」
「咲...」
「....」
名前を呟いて俯く彼と向かいあう。
すっと彼の手を引いて、マンションに入った。