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愛してるなんていらない
第10章 失踪

「咲!」

「しんちゃん!」

汗だくになって白髪の叔父が走ってきた。
「お母さんは..」

「まだ....」

「そう..あ、こっちは百合。ついてきてくれたの..」

叔父は百合を見ると、歯をくいしばりながら頭を下げた。

「すみません、こんな田舎に..咲をありがとうございます..」

「いいえ..私もできることがあれば手伝いますから言ってください。」

「..ありがとう..」

深々と頭を下げる叔父を促し、私たちは叔父の家に向かった。

「..16時頃に、お腹がすいたと言ってね..佐藤さん..新しい家政婦さんなんだが、キッチンに入った数分の間に居なくなってたんだ。」

見ると時計はもう20時を回っていた。

「佐藤さんはまだ来て日が浅かったから..」

「前の人は?」

「辞めた。」

「どうして..はぁ..お母さんね。」

叔父の顔が曇ったのを見て、ため息をつくと小さく頷いた。
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