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愛してるなんていらない
第12章 初恋
シングルマザーになった母は、私を女手一つで育ててくれた。
パートをしながら、二人分の生活費を賄っていた。
気の強い母は、経営のうまくいきだした兄である叔父からの援助を一切断り、小さなアパートでそれなりに幸せに過ごしていた。
そんなある日、母が男の人を連れてきた。
「咲..浩太くんていってね。パート先で知り合ったんだけど..仲良くしてね。」
中学3年の私は、それがどういう関係なのかすぐ分かった。
けれど幸せそうな母の姿に、特に反抗心もなく、私自身浩太さんを浩ちゃん、と呼んで慕っていた。
それから少しして、浩太は私たちの家に住むようになった。
夕方まで私は学校、夜は浩太と母が二人で仕事から帰ってくる。
3人分の夕飯を用意して私は待っていた。
そんな日々が続いたある日、浩太が急に仕事を辞め、事業を始めると言い出した。
母はまだ充分な資金がないんだから..と止めるのも構わず、貯金を崩しながら、私たちの家で毎日パソコンと向かい合って何かしていた。
「浩ちゃん何してるの?」と私が母にきいても、いつも「まぁ気が済むまでやればいい」と呆れていた。