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愛してるなんていらない
第3章 出会
前に雑誌に載っていたあるブランドの新作だった。
週二回の私のバイト代じゃあすぐに買えないと諦めていた。
「一個ちょうだいよ~!」
「だーめっ!」
私の冗談に嬉しそうに舌を出す百合を、純粋に可愛いと思う。
こういう時、いつも自分のこういう姿を想像しては打ち消した。
一人の人を好きになって、不安や幸せを積み重ねていくことが怖かったのだ。
“私は『あの人』のようには なりたくない”
デートの話を幸せそうに話す百合を見ているだけで、羨ましいと同時に心が温かくなった。