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海鳴り
第7章 満ち潮
躰は熱をおび、抱き締められていなければ倒れてしまいそうだった。


「律子、俺が怖いか…」


律子の背中を支え頬に手を当てて、相沢はこれまで見せたことのない切ない瞳で律子を見た。


「…─こ、怖くなんか…」


相沢の目の奥に見える熱さに怯えながら、律子は必死に強がりを言った。


「俺は怖い。
でも止められねぇ…あんたを…傷つけちまうのは…わかってんのに…」


相沢は靴を脱ぎ捨てて家に上がり、戸惑う律子を壁に押し付けながら両手で頬を包んで唇を奪った。


「…ぅ…」


何も考えられなかった。 驚いて目を見張っていた。

相沢を目つめ、唇が離れるとその唇を見つめ、また目を見つめた。

熱い息が交差する。

相沢の視線と息づかいが、律子の中の女を目覚めさせる。


「こ、怖くない…」

「知らねえぞ…、どうなっても…」

「…ンンッ…」


相沢は容赦なく律子の舌に絡み付き、吸い寄せ、唇を左右に傾けながら律子を味わった。

律子は震えながら相沢にしがみついていた。


構わない
どうなっても…




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