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『女の悩み相談室』 ケース1
第1章  
私は嘘をつけず、急いではいなかったので、お茶ぐらいならと、その若い子とコーヒーショップでお話しました。
話してみると、その男の子はなんと23歳で大学生だと言うのです。
細身で今風に染めた髪を伸ばしていました。
でも不快さはありませんでした。
「こんなおばさんと話しても面白くないでしょう?」
と言いましたが
「お姉さんを人目見たとき、大人のすごいきれいな女性だなって思って、思わず声を掛けちゃったんです」
とお世辞だとわかっていても、うれしいことを言ってくれたのです。
息子と変らないような歳の彼は、しきりに私を褒めてくれました。
「え、嘘、そんな歳には見えない」
「僕、大人の女性に憧れているんです」
「僕にも、こんなお姉さんのような彼女がもいたらな」
こんな楽しい気分になったのは久し振りでした。
コーヒーショップを出た後も、二人で歩きながら、楽しいお話をしました。
まるで、恋人とデートをしているような気持ちになりました。
いつしか彼のマンションの前に来ていました。
「僕、ここで一人暮らししているんです」
「じゃ、楽しかったわ、さようなら」
そう言って手を振ろうとしたら、その手を掴まれて
「まだ、いいでしょう? まだお姉さんとお話したい……僕、こんな気持ちになったの初めてです」
と言われ、私はぼーっとしてしまい、手を引かれるままに彼の部屋に入っていました。
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