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第1章 　

その日は何事もなく終わり、翌朝、美幸は家に帰った。
帰ってからは美幸は数日間、変わらない生活ごく普通の生活を送った。
ある日、不意に鳴った携帯の電子音が、美幸の平穏な生活を破った。
それはあの信也からのメールだった。
それは信也は美幸のことが忘れられず、我慢できずに美幸にメールをしたのだった。
でも美幸はそんな事とはつゆ知らず、携帯を見た。
信也のメールにはこう書かれていた。
『この間はメアド交換してくれてありがとう。あのときの美幸ちゃん、すごくきれいだったよ。同窓会でもっと美幸ちゃんと話ししたかったけど、周りの目があったからね。今度一緒にイタリアンでもどう？おいしい店知ってるんだ？』
美幸は、あのとき食事を断ったのに、また、どうしたのだろうと思った。
それほど、信也は美幸に会いたいと思っていたのだった。
美幸は返信した。
『ありがとう。私も信也君と話してみたかったけど、余り、時間なかったね。食事のお誘いうれしいけど、私、日中しか空いている時間ないの。だからごめんね』
そう送ったら、信也から返信が来た。
『大丈夫だよ。俺、会社ではちょっとした重役になってて、日中はほとんど取引先との話し合いや、ゴルフコンペとか、接待で会社にいなし、会社の人間も俺の行動に関与しないんだ。だから日中でも会えるよ』
美幸は信也がそんな立派な人間になっていたとは、思いもしなかった。
そのあと美幸は、信也の熱意に根負けし、今度食事をすることになった。