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想い人
第2章 私の想い人
「美空……」

トイレを出れば、壁に寄りかさっていた透也が顔を上げる。

私は、気まずくて視線を逸らす。

「……美空はそのままで充分可愛いよ」

ドキッ
こんな時にまでときめく私は相当透也にはまってる。

そんな事を言われたら、諦められなくなるよ?

どうかずっと透也の片想いでありますように……
どうか蕾さんの気持ちが透也に向きませんように……
そんな事を願う私は最低だ。


「今日は…蕾さんと2人で食事に行く訳じゃないから」

黙り込んだ私に、透也がボソッと言った。

「え?」

じゃあ大勢で?

透也を見上げれば、ふいっと視線を逸らされる。


「……一緒に接待なだけだから」
視線を逸らしたまま、透也が言った。

─────バカ。

本当の事なら目を見て言ってよ。

受付嬢が接待なんかする訳ないじゃん。


透也のバカっ‼︎

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