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想い人
第4章 俺の想い人
だけど、美空は落ち着くどころか涙をポロポロと零し始める。

「私が入社する前から蕾さんが好きで、ものすごいアプローチしてたんでしょ?」

「それは……っ」

確かに事実だ。
だから今、蕾さんに”好き”だなんて言われて舞い上がった。

でも、それは過去の話で……。

あーもうっ、どう言えば美空に伝わる⁈

俺がもたついてる間に、美空はどんどん言葉を紡ぐ。


「だから私を利用して蕾さんを振り向かせたかった事もっ」

「ばっ…そんな訳……っ‼︎ 」

「蕾さんが意地悪されないように、私をカモフラージュに使ってた事もっ」

は─────…?
話がめちゃくちゃ過ぎる……。


「美空っ‼︎ そんな訳ないだろ‼︎ 」
俺の怒鳴り声がエントランスに響いた。

ようやく静かになった美空を抱き寄せる。


「蕾さんには、お見合いを断る口実に彼氏のフリをして欲しいと頼まれただけだ」

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