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第1章 部長との間違い

できない人間。

これじゃあ、空太も呆れるよ。

廊下にいると、人にじろじろ見られるから、空室の会議室の中に入った。

ここなら、思い切り泣ける。

「うぅ……ふっ……」

どうして私は、こんなにも仕事ができないんだろう。

自分が情けなくて、涙が出た。


その時だった。

会議室のドアが開いて、振り返ったら部長が立っていた。

「いつまでも、帰って来ないと思ったら……」

また叱られる。

私は身構えた。

でもその瞬間、私は部長の腕の中にいた。

「心配したぞ。」

「えっ……」

「強く言い過ぎたかなって。真由子。」

部長に名前で言われて、ドキッとした。

「いつも頑張っているところ、俺は知っているから。」