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リヴァイ兵長は選べない人
第5章 苛立ち
リヴァイはエルヴィンの執務室の前に来た。
話の切り出しをどうするかを考えてはいなかった事を思い出し、
ノックしようとした手が一瞬止まる。
…今更悩んでも仕方がない。
そう思い、二回扉をノックした。

「エルヴィンいるか?俺だ」

そのままドアノブに手を掛けてゆっくりと扉を開いた。
中には執務机の向こう側で、窓に向かって立っているエルヴィンがいた。

「すまない、遅くなっちまった」

後ろ手で扉を閉める。
エルヴィンは立ったまま返事もせず、振り向きもしない。
気のせいか、空気が若干張り詰めているような違和感を受けた。
リヴァイが名前を呼ぼうとしたその時、エルヴィンは背を向けたまま口を開いた。

「お前はまるで娼婦だな」

リヴァイの身体が一瞬強張った。
背中にまるで氷水が流れていくような感覚に陥る。
途端、部屋中の空気がピリピリと張り詰めて全身に刺さってきた。
喉元を締め付けられたようで、声が出せないくらい空気が重い…
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