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リヴァイ兵長は選べない人
第5章 苛立ち
「ミケには癒して貰ったのか?それとも全員と寝てきたか?」

ゆっくりとエルヴィンが振り返る。
夕日が逆光になっていて表情がよく見えない。
思いがけないエルヴィンの言葉に、リヴァイは何も言えないでいた。

「お前を初めて抱いたのはいつだったか…もう随分昔の気がするが、
私はお前の何人目の男だったんだろうか、なあリヴァイ…?」

執務机を迂回して、扉の前に立ち尽くしているリヴァイの前に、
エルヴィンは足音を立てて、つかつかと歩んできた。
そしてバンッと大きな音を立て、扉を掌で叩き付けた。
リヴァイのすぐ耳元だったので、一瞬身体がビクンとなる。
顔を上げると、エルヴィンはまるで凍ったような表情でリヴァイを見下ろしていた。
ここに向かうまでの間に話そうと思っていた事を全て忘れたかのように、
リヴァイの頭は混乱していた。この状況が飲み込めないでいた。
こんなエルヴィンを見るのは今までで初めてだったからだ。

「まさかお前がここまで淫靡な男だとは思いもしなかった」

後ろ髪を鷲掴みにして強引に顔を上に向けられる。
捕まれた髪の毛より、エルヴィンの突き刺さるような視線の方に痛みを感じた。
吐息が掛かる位置まで顔を近づけてエルヴィンは言った。
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