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リヴァイ兵長は選べない人
第6章 熱情
身体を一通り拭いてやり、ハンジが扉の外に置いていた薬を飲ませた。
ハンジの見立て通り、リヴァイはやはり熱を出してしまったのだ。
世話をかけて済まないと言いながら、薬の効いたリヴァイは、
そのまま眠りに落ちて行った。
ミケは薪をくべ、火を絶やさないようにしてから、自分の衣服を整えた。
そして一旦リヴァイの部屋を後にした。


―行先はエルヴィンの所だ。
ここからそう遠くない場所にあるエルヴィンの私室に着いた。
扉の前に立ってノックをした。

「エルヴィン、俺だ、入るぞ」

鍵が掛かっていなかったのでそのまま扉を開ける。
日が暮れていて中は薄暗く、執務机に小さなランプが灯っているだけだった。

「…ミケか、どうしたこんな時間に」

ミケは執務机に歩み寄っていった。
椅子に座って窓の外を見たままエルヴィンは動かない。

「エルヴィン、本気で手放すのか?」

執務机に両手で手をついて身を乗り出してミケは言った。
ミケのエルヴィンに対する苛立ちは最高潮に達していた。
あんなに小さな身体を震わせて、涙を堪えていたリヴァイ。
それほどエルヴィンを想っているのに、なぜ酷い言葉を浴びせたのかと。

ゆっくりとエルヴィンが振り返る。

「…何をだ…?!」
「とぼけるな、リヴァイの事だ」

薄暗い部屋の中、空気がピーンと張りつめ、二人の視線がかち合う。
エルヴィンは顔色一つ変えず、何も答えず、ミケを見ている。
すると何も無かったかの様に、また窓の方を向いた。



ミケは低い声で怒りを抑えるように言った。













「エルヴィン、リヴァイは俺が貰う」
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