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リヴァイ兵長は選べない人
第7章 素直になれなくて
昨晩の事を思い出しながらエルヴィンは食堂で朝食を摂っていた。
ミケに言われた言葉を思い出す…

―エルヴィン、リヴァイは俺が貰う

あの時好きにしろとも、駄目だとも何も返答が出来なかった。
何事にも動じてない態度を取るのが精一杯だった。
その後会話のないまま、ミケは部屋を後にしたのだった。
本当は今すぐにでも抱きしめて、リヴァイを自分だけの物にしたい。
でも彼に酷い言葉を浴びせ、大人気ない態度を取ってしまった手前、
素直になれない自分がいた。
尚更、それを他人に知られるのは絶対あってはならない。
リヴァイは結局誰かを最終的に選ぶのだろうか?
少しでもあの時、彼の話を聞いてやればよかったと何度も悔やむ。
冷静を保てなくなるほど、リヴァイに心を奪われてしまっていると、
改めて思い知らされ気持ちの収集がつかないでいた。



「スープ、冷めてるよ」

はっとなり見上げると、隣にハンジがトレーを片手に立っていた。
考え事に必死になり、スープはすっかりと冷め切ってしまっていた。

「隣、良い?」
「ああ、もちろん」

椅子を引くと軽快にハンジは腰かけた。
冷めたスープの器をスプーンで混ぜる。
それを口に何度か運んでいると、ねえ?とハンジが言った。

「何か上の空だよね。エルヴィン」

ハンジはパンをちぎって頬張りながらそう言ってきた。
もぐもぐと勢いよく食べると、ハンジはエルヴィンの方を向いた。

「リヴァイが昨日夜倒れたよ」

その一言でエルヴィンは一瞬目の前が真っ黒になった。
手に持っていたスプーンが床にカシャンと音を立てて落ちる。
リヴァイが…倒れた…?!
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