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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
「おうよ。確かになぁ、こう暑くなっちまったら、息が上がっていけねえや」
「玄庵先生から貰った薬はちゃんと呑んでるんだろうねえ。持病持ちのくせに、薬を呑むのを億劫がるだなんて、あたしには信じられない話だけどねえ」
兵助は若い頃から、心臓の持病を抱えている。町医者の狩納玄庵に言わせると、脈拍数が普通よりも何倍も多いため、少し動いただけで息切れがするらしいのだ。そのため、玄庵に処方して貰った薬を日に三度服用している。
「玄庵先生から貰った薬はちゃんと呑んでるんだろうねえ。持病持ちのくせに、薬を呑むのを億劫がるだなんて、あたしには信じられない話だけどねえ」
兵助は若い頃から、心臓の持病を抱えている。町医者の狩納玄庵に言わせると、脈拍数が普通よりも何倍も多いため、少し動いただけで息切れがするらしいのだ。そのため、玄庵に処方して貰った薬を日に三度服用している。