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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
とはいっても、お民にはこうして少しでも精の付くものをこしらえて食べさせてやるくらいしか、何もすることはできなかった。もっとも、折角こしらえても、兵助が食べられるのはせいぜいが半分ほどなのだけれど。
兵助は脚を洗い終えると、畳に上がり、どっかりと腰を下ろした。
「おう、こいつは美味そうだな」
そんな風に歓んでくれるのなら、せめてもう少し食べてくれれば良いのに。
お民はそう思いながらも、笑った。