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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
「先生、今はそんなことを言ってる場合じゃないだろう? 定命だが、何だか知らねえが、そんなことは坊さんが口にする科白だし、第一、兵さんはまだ死んだわけでもねえし、ちゃんと生きてるんだ。今は何の役にも立たねえ理屈を並べ立ててるよりは、医者なら、手を尽くすのが先じゃないんですかい」
 いつもの源治とは思えないような凄みのある声に、玄庵がやや気圧されたように頷く。
「確かに、お前さんの言うことは、もっともだ。理屈を言うのは後でも十分間に合うな」
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