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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第5章 二つめの恋花 恋紫陽花 其の壱
 兵助が、良人がいたからこそ、お民は兵太を失った痛みを乗り越えられたのだ。
 でも。万が一、兵助までもが死んでしまったら。
 自分は、どうしたら良い? 兵助のために今、何がしてやれる?
 何もできない我が身が、今はただ、ただ口惜しい。お民が唇を噛んだ時、そっと背後で腰高障子の閉まる音が聞こえた。
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