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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第7章 恋紫陽花 其の参
兵助が一人住まいしていたこの長屋に嫁いできた時、美空はまだ六歳のほんの子どもだった。お民が徳平店の新しい住人となって六年後に、美空の父弥助が不慮の事故で亡くなった。同じ年―弥助が亡くなるわずか八ヶ月前に、お民の最愛の息子兵太もまた亡くなっている。
弥助が亡くなってから後、美空は度々、お民の家に泊まりにきた。お民もまた我が子を失った淋しさ、哀しみが癒えぬ時期でもあり、当時、お民は美空を引き取って娘として育てようと本気で思案したこともあったほどだ。
弥助が亡くなってから後、美空は度々、お民の家に泊まりにきた。お民もまた我が子を失った淋しさ、哀しみが癒えぬ時期でもあり、当時、お民は美空を引き取って娘として育てようと本気で思案したこともあったほどだ。