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第8章 三つめの恋花　桜いかだ　其の壱

　むろん、親の贔屓目かもしれないが、美空は素直で良い娘に育った。女の子にしてはいささか気の強いというか負けん気の強いのは考えものだけれど、これはもう少し経って、惚れた男の一人でもできれば、自ずと変わって、しおらしく娘らしくなるに違いない。
　とにもかくにも、お静は弥助にとって、それほどの恋女房であった。弥助にしてみれば、女房に生き写しの娘と二人で慎ましく暮らしてゆければ、他にはもう望むことはない。