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第8章 三つめの恋花　桜いかだ　其の壱

　風に倒れそうなほど儚げでいながらも、いつも前を向いて凜とした強さを持っていた。もしかしたら、彼女の遺した、たった一人の忘れ形見である娘は、お静のそんな内面のしなやかな強さを受け継いでいるのかもしれない。
　いずれにしろ、女房のおらぬ今、このような店は弥助には縁のない場所だ。弥助は心もち肩をすくめ、賑やかに品定めをする女たちの真横をさり気なく通り過ぎようとした。