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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 お静が亡くなった時、弥助は一晩かけて桔梗の花の簪を作った。その簪を手ずから女房の髪に挿してやり、女房の永の旅立ちを見送ったのだ。桔梗はお静の愛した花であった。
 弥助がなかなか思うような細工ができず、苛々としていても、けして厭な顔もせず、いつも笑顔で優しかった。本当に桔梗の花のような女だった。
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