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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
―何なんだ、俺は。まるで十かそこいらのガキじゃあるまいし、女に見つめられただけで、なに舞い上がってるんだよ。
自分自身を罵りながら、弥助は努めて平静を装おうとする。
「いえ、それでは、あたしの気が済みません。通りすがりの見ず知らずのお方にこんなことをお話するのも何ですが、あの若旦那には本当に難儀していたのです。店の方にも何度も押しかけてくるし、こうして通りすがりに待ち伏せしていることもあるので、迂闊に一人で外も歩けません」
自分自身を罵りながら、弥助は努めて平静を装おうとする。
「いえ、それでは、あたしの気が済みません。通りすがりの見ず知らずのお方にこんなことをお話するのも何ですが、あの若旦那には本当に難儀していたのです。店の方にも何度も押しかけてくるし、こうして通りすがりに待ち伏せしていることもあるので、迂闊に一人で外も歩けません」