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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第8章 三つめの恋花 桜いかだ 其の壱
 おれんは心底困惑したような表情で緩く首を振る。
「そいつは大変だな。何かい、あの若旦那はあんたの店の客なのかい?」
 弥助が問うと、おれんは小さく頷く。
「元々は半年ほど前、同業の呉服問屋の旦那、いえね、そちらの旦那は気さくで人間もできた申し分のないお方なんですが、そちらの旦那とご一緒にお見えになったんですよ。何でも、その旦那の遠縁に当たるとかいうことで、あの若旦那をお連れになって」
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